偶然ですね、三島由紀夫さん
三島由紀夫 割腹自殺の9ヶ月前に録音された肉声テープが発見された と世間では専らの噂だ。
私が思わずこれに反応してしまったのは、その前日から偶然にも三島由紀夫の本をチラチラと読み直し始め、鞄の中に入れていたからだった。
不道徳教育講座
私が三島由紀夫の著書の中で唯一持っているもの。物語ではなく、〇〇するべし という形で様々なテーマについて書き綴られたエッセイである。その書き方は回りくどく、不道徳なことを述べることによって真の道徳を読者に知らしめる、といった形だ。ひとつひとつのエッセイにきちんとユーモアを交えてオチをつけているところが救いではあるが、私の印象としては、まあ面倒くさい。
しかし、この本は読んで後悔することはないと思う。現代社会で生きる私たちにとって、忘れてしまいがちなこと、人と人との関わり、人としてのあり方、この本にハッとさせられることが少なくない。
時間があったら是非読んで頂きたい。
私が好きなのは、「告白するなかれ」「モテたとは何ぞ」 です。
ぼんやりと社会に流され生き、“本質” を忘れがちな私たちに向けて、きっと三島由紀夫は時代を超えて書いてくれたのだと、ちょっと思った。