日々

インスタグラムに綴るにはなんかあれ

高速バスにて おばさん

高速バス出発時刻のギリギリになってしまった 慌ててスーツケースをバスのトランクに仕舞い指定していた9C席に飛び乗ろうとすると 運転手さんは困った顔をして私に言うのだ 「すみませんが10Cの席に移動していただけますか?ちょっとうるさいお客様がいましてねぇ」どうやら3列シートのバスのなかで10列目のC席だけが後尾にあるトイレの横に突き出す形であって それが気に食わないと騒ぎ立てた人がいたようだ 大したこだわりがあるわけでもない私は構いませんよと笑顔で会釈し 10C席に深々と座った バスは私の所為で3分だけ遅れて発車した 本日はご乗車ありがとうございますというアナウンスが流れる しばらくして9C席のおばさんはそわそわと振り返り私に向かって言うのだ 「あの あなた元々そちらの席の方ではないですよね?」「 はい 席を交換する旨を運転手さんから伺いましたよ」 するとおばさんは目を細めて言うのだ 「私後ろに誰もいない席がよかったのに あなた別の席に移動してくれない?」 私は大層に驚いた これほどまでに都合がいい人間が世の中にいてたまるのか 10C席は最後列ではあるが横にトイレがあるために座りたくないと駄々をこね 9C席に座ると今度は後ろに人がいることが不快だと駄々をこねる 私にバス中央列である9B席に移動しろと言うのだ ちょっとうるさいお客様どころの話ではない 

 

世の中には様々な人がいる そんな中で私はこれから上手に受け入れて/受け流して生きていかなくてはならない そう改めて思った瞬間であった


このあとピシャリと言い放った私の一言でおばさんは結局静かに9C席で不愉快でありながらも申し訳なさそうな顔でスマホをいじっている

 


「ここはあなただけの社会ではないので」