読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

日々

インスタグラムに綴るにはなんかあれ

 

私が小学生のときのこと 通学路の道端に置いてあったスチールの缶を何となく 何となく蹴ったら緑と黄色のペンキがタラタラと駐車場のアスファルトの上を伝った それが一面に広がるので 私は慌てて逃げた 不良少女でも何でもない むしろ優等生だった私は 怖くて逃げた いっときの “何となく” がそれ以来の私をとても不安にさせた 後悔が先に立つような世界だったらよかったのに
登校するときは友達と一緒だったからそのアスファルトの上を通るしかなかった 変にルートを変えようなんて言えばこのペンキが私の所為だってバレてしまうんじゃないかって怖かったから 下校はひとりでわざわざ遠回りして 違うアスファルトを踏んで帰った ペンキの少しついたスニーカーはひとりでこっそりとゴシゴシ洗った もちろん簡単には落ちなかったのでわざとグラウンドで汚したりした アスファルトの上の緑と黄色はそんなに簡単に消えるわけもなく 数ヶ月はそのままだった あの時ほど毎日がとても長く感じることはなかったし 私は空の青を見つめた


成人式を終えた私は 久しぶりに小学生来の友人たちとお酒を飲んで フラフラと歩いた そのときふと ひとりが私に言った

「そういえばこのアスファルトに君の零したペンキがあったよね、」

その言葉に他の皆も頷いたり笑ったりして ああなんだ 私はどうしてこんなにも不安だったのだろうと 情けなくなった と同時に大きなため息が口元を緩ませた 私はもう何色でもないアスファルトの空を蹴った

 

今でも私の心は 不安になると緑と黄色に染まっている